【コロナ禍のイギリス】駐在者が見た「イギリスとCOVID-19」Part 1

UK COVID-19 Overseas Life / 海外生活・駐在

今、世界からコロナ禍のイギリスはどのように見えているのでしょうか?

日本にいる両親や友人、オンライン英会話レッスンのフィリピン人講師と話すたびに聞かれるのが、

患者の数がものすごいことになっていて、何回もロックダウンされてるんでしょ? どんな生活してるの?

イギリスでCOVID-19のウイルスが変異して感染しやすくなったって聞いたよ。大丈夫なの?

もうワクチン打った?

各国でどのように報道されているかは分かりませんが、「とにかく酷いことになっている。」というのが共通認識のようです。

結論から言うと、筆者自身もこの国で生活することが果たして「大丈夫なのか?」は正直分かりませんし、また「誰も分からない」のではないでしょうか。

ただ、あまりにも目まぐるしく状況が変化し過ぎるため、だんだんと感覚がマヒしてきているのは自分でも薄々感じています。そこで今回、COVID-19に関する英国内で起こった一連の出来事を整理してみることにしました

この記事では、2020年1月から2020年12月までの約1年間を振り返って、実際にイギリス国内がどのような状況だったかを、カギとなる出来事にスポットを当てながらお伝えしていこうと思います。

なお、死亡者数等のデータはUK-GOV(英国政府のHP)から取得しており、そちらに記載のない項目は正確な数字が不明のため「N/A」と記載しています。

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2020.1.30 イギリス国内で最初のCOVID-19患者が確認される

Two individuals, who are members are the same family, have been announced as the first confirmed cases of the coronavirus
Total deaths: 1 / Daily deaths: N/A / Daily cases: 2

イギリス国内で最初にCOVID-19の患者が確認されたのが「ヨーク」というイングランド北部の都市で、中国人家族の2人だったそうです。
この少し前に英国政府は中国への行き来を制限したばかりでした。

1月のイギリス国内ではCOVID-19はまだ「遠い国での出来事」で、まさかこの国がこのウイルスによって災害級の影響を受け多くの人命が失われることになるとは夢にも思っていませんでした。

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2020.2.28 日本に停泊していたダイアモンド・プリンセス号に乗船していたイギリス人が死亡

A passenger on the Diamond Princess cruise ship in Japan becomes the first British person to die from the virus.
Total deaths: 1 / Daily deaths: 1 / Daily cases: 12

2月の初旬、中国の武漢で新種のウイルスが発生し国境を超えて感染が拡大しているというニュースをちらほら聞き始めた時、日本に停泊していたイギリス国籍の豪華客船「ダイアモンド・プリンセス号」内でそのウイルスが急速に広がったという情報が入ってきました。

4,000人近い乗客・乗員のうち2割近くが感染するというショッキングなニュースは、BBCニュースでも度々報道されていました。
その中で無くなったイギリス人男性が、COVID-19で亡くなった最初のイギリス国民と言われています。

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2020.3.13 スポーツ観戦など大勢で集まる行為を禁止

Government eventually bans mass gatherings
Total deaths: 54 / Daily deaths: 16 / Daily cases: 481

ヨーロッパで一番最初にCOVID-19が広まり始めたのはイタリアで、その頃はまだイギリス国内は「対岸の火事」状態でしたが、死亡者が増えるにつれ政府も規制を厳しくせざる得なくなります。

この頃は「COVID-19=中国」というイメージが強く、アジア人を見る目が日に日に厳しくなっていきました。2月24日にロンドン中心部のオックスフォード・ストリートでシンガポール出身のアジア人男性が4人組のグループに暴行を受けた出来事もあり、アジア人として電車やバスに乗り辛くなっていったのをはっきりと覚えています。

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2020.3.23 イギリス最初のロックダウンに突入

The UK lockdown comes into effect
Total deaths: 939 / Daily deaths: 186 / Daily cases: 2,326

大陸のヨーロッパ諸国に続き、ついにイギリスでもロックダウンが始まりました

生活必需品を売る店以外は学校も含め全てクローズ、レストラン・カフェ・パブも営業停止、テイク・アウトもしくはデリバリーだけは許可されていました。

ロックダウンが始まるとささやかれ始めた頃から「パニック買い」が始まり、トイレットペーパーやパスタがスーパーの棚から消えました。この時はまるで自分が映画の中にいるような感覚でしたが、閉まったパブやレストラン、何もないスーパーの棚を見るとじわじわとなんとも言えない不安が湧いてきました。

缶詰コーナー
トイレットペーパーコーナー

ロックダウンに入ったにもかかわらず、ここから爆発的な感染者の増加が始まりました
夫の在宅勤務もこのあたりから本格的に始まります。

イギリスに住む日本人家族も、母親と子供だけが一時的に日本へ帰国したというケースが多かったようです。

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2020.4.8 1日の死者の数が1,000人を超える

The daily deaths surpassed 1,000 for the first time
Total deaths: 11,619 / Daily deaths: 1,073 / Daily cases: 5,123

この日初めて1日のCOVID-19での死者が1,000人を超えました
死者の多くはお年寄り、しかも病院ではなくケアホームなどの施設や自宅で亡くなった人が圧倒的多数を占めていました。

最初はただ戸惑うばかりだったロックダウン生活にも少しずつ慣れ、今度はその不便さによるストレスが徐々に溜まり始めます。

チェーンのカフェ
スーパーに入るだけでも長蛇の列

イギリス政府はとにかく「テスト」を実施してウイルスの広がるスピードを落とすことに注力していましたが、なかなか上手くいかなかったようです。

ガラガラの地下鉄

ちょうどこの少し前に、英国首相ボリス・ジョンソンがCOVID-19に感染し、自主隔離しているという衝撃的なニュースが流れました。

2020.4.27 ジョンソン首相が退院後初のテレビ演説

Prime minister makes his first speech after recovering from coronavirus
Total deaths: 26,801 / Daily deaths: 595 / Daily cases: 4,705

4日間の ICU(集中治療室)での治療を経て療養を終えたジョンソン首相がこの日イギリス国民に向けて久々のテレビ演説を行いました。

ロックダウンの効果で入院患者数が徐々に減ってきているがまだ予断は許さない状況であるという内容だったと思います。

この頃になるとイギリスの国民保険サービス NHS (National Health Service) で勤務する医師や看護師がヒーローのように讃えられ、彼らを少しでも応援し支えようというキャンペーンが繰り広げられました。

公園の入口に掲げられたお知らせ

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