シチリア最大の都市パレルモは「世界で最も美しいイスラムの都市」と表現されています。
シチリア島は年間を通して気候も快適、特に夏はビーチでのリゾートライフと市内観光の両方を楽しめる楽園です。
「でも、イタリアなのになんでイスラム?」とお思いでしょうが、これは周辺国から狙われ続けてきたシチリアの複雑な歴史から来ています。
シチリアはその立地と気候の良さから、ギリシャ人を始め、ローマ、アラブ、ノルマン、フランスやスペインとあらゆる民族によって支配されてきました。そして、その都度文化がミックスされて、結果、イスラム系のエキゾチックな特徴を持つ独特な文化ができあがりました。
この記事では、そんなパレルモを効率良く1日で観光するためのモデルコースを紹介します。
①マッシモ劇場 → ②クァットロ・カンティ → ③マルトラーナ教会 → ④サン・カタルド教会 → ⑤ヴィットリオ・エマヌエーレ通り → ⑥パレルモ大聖堂 → ⑦ノルマンニ宮殿 → ⑧パラティーナ礼拝堂 → ⑨カプチン派のカタコンベ → ⑩バッラロ市場(Ballaro Market)
- マッシモ劇場(Massimo Theater)
- クァットロ・カンティ(Quattro Canti)
- サン・カタルド教会(Chiesa San Cataldo)/ マルトラーナ教会(Santa Maria dell’Ammiraglio)
- ヴィットーリオ・エマヌエーレ通り(Via Vittorio Emanuele)
- パレルモ大聖堂(Cattedrale di Palermo)
- ノルマンニ宮殿(Palazzo dei Normanni)
- パラティーナ礼拝堂(Palazzo Reale e Cappella Palatina)
- カプチン派のカタコンベ(Catacombe dei Cappuccini)
- バッラロ市場(Ballaro Market)
- おわりに
マッシモ劇場(Massimo Theater)
スタートは、街中にそびえる「巨大なマッシモ劇場」からです。
旧市街と新市街の境目にある建物で、収容人数は3,200人、ウイーンのオペラ座、パリのガルニエ宮に続いて世界3番目の規模の歌劇場だとか。
入場するためにはガイド付きのツアーに参加するか、オペラを鑑賞するかどちらかになります。
映画「ゴッドファーザー」のロケで使用されたことがあるそうで、映画ファンの方は入場してそのシーンと実際の場所を重ね合わせてみたら面白いのではないでしょうか。
クァットロ・カンティ(Quattro Canti)
「クァットロ・カンティ」は“四つ辻”の意味で、旧市街地の中心に位置する交差点です。
四方を3階建ての建物で囲まれており、それぞれの壁には立派な彫刻が置かれています。パレルモのメインストリートであるヴィットーリオ・エマヌエーレ通りと、それと直角に交差するマクエダ通りとの交差点なので、観光する際の目印になります。
このすぐ裏手には見事な噴水を有する「プレトリア広場」があり、さらにそこを抜けると次の目的地の教会が建つ「ベッリーニ広場」があります。
サン・カタルド教会(Chiesa San Cataldo)/ マルトラーナ教会(Santa Maria dell’Ammiraglio)
クァットロ・カンティから徒歩わずか徒歩2分で、2つの教会が建つ「ベッリーニ広場」に到着です。
この2つの教会は同じ時代に建てられたにもかかわらず、全く様式が異なっています。1つは塔を有するバロック式のサン・カタルド教会、もう一つが3つのドームがラブリーなアラブ風のマルトラーナ教会です。両方とも入場できますので、内部の違いも見比べてみてください。
見学にあたり特におすすめしたいのが、サン・カタルド教会にある塔です。値段は忘れてしまいましたが、教会の中にチケット売り場があり、登ることができます(大した金額ではなかったと思います)。
そこまで高さはないものの、塔の上から眺めるオレンジ色の屋根は異国情緒にあふれていて、とても良い写真が撮れます。
ヴィットーリオ・エマヌエーレ通り(Via Vittorio Emanuele)
パレルモの美しい景色を鑑賞した後は、メインストリートの「ヴィットーリオ・エマヌエーレ通り」散策です。
散策と言っても、次の目的地であるパレルモ大聖堂までの徒歩5分程度の距離ですが、道の両脇には小さなお店やカフェがたくさんあるので、寄り道をしていると意外と時間がかかります。
ここではしっかり腹ごしらえをしておきましょう。オススメはアランチーナというライスコロッケとカンノーリという薄い生地でクリームを巻いたスイーツです。どちらもシチリア名物なので、見かけたらご賞味あれ。
パレルモ大聖堂(Cattedrale di Palermo)
「パレルモ大聖堂」は12世紀に建設された、街で一番大きい大聖堂です。青い空とはちみつ色の外壁のコントラストが本当にきれいです。
凝った装飾の外側とはうって変わって、内部はすっきりとしたデザインです。見どころは、宝石をちりばめた王冠や式典用の聖具などを展示した宝物室と王家の墓(有料)です。
正面の道路のはす向かいにBar Morocco Valdina Elenaというカフェがあります。Wi-Fiが使えますので、ここでちょっと休憩がてら、ジェラートやシチリア特有のあま~いケーキをいただいても良いかもしれません。
ノルマンニ宮殿(Palazzo dei Normanni)
パレルモ大聖堂を出てヴィットーリオ・エマヌエーレ通りをさらに西へ進むと、数分で「ノルマンニ宮殿」に到着です。
2015年に、この宮殿とパラティーナ礼拝堂を含むパレルモのいくつかの建造物が、世界遺産に登録されました。
同宮殿とパラティーナ礼拝堂は同じ敷地内にあるのですが、宮殿はガイドツアーでの入場、礼拝堂は自由見学(混み具合によって入場制限あり)となっています。
もともとはアラブ人が建てた城をノルマン人が増改築した結果、ユニークなアラブ・ノルマン様式の宮殿になりました。
中庭に面した回廊の柱が特徴的なのと、天井に施されたモザイクが見事ですので、お見逃しの無いように。
パラティーナ礼拝堂(Palazzo Reale e Cappella Palatina)
パレルモに来たらここは必ず訪れていただきたい場所です。
壁、柱、天井、祭壇全てがビザンチン様式の黄金のモザイクで覆われた「パレティーナ礼拝堂」は、パレルモでも屈指の人気観光スポットです。
礼拝堂ですのであまり露出度が多い恰好だと入場を拒否されてしまう可能性があるので、お気をつけ下さい。
天井一面の見事な装飾に目を奪われて、ずっと見上げていると首が痛くなってしまいそうですが、上だけでなく、アラベスク模様の床面と細かい彫刻が施された柱のチェックもお忘れなく。
カプチン派のカタコンベ(Catacombe dei Cappuccini)
限られた観光の時間をいかに分配するか、旅行の際はいつも頭を悩ませるものですが、このパレルモ観光で時間があったらぜひとも見ていただきたいのがこの「カプチン派のカタコンベ」です。
カタコンベとはイタリア語で「地下墓地」のことで、ここには何と8,000体ものミイラが眠っています。しかも生前同様に洋服を来た状態で、言い方は悪いですが“吊るされている”ので、まるで死者に見下ろされながら歩いているような、日本ではまず不可能な体験をすることができます。
この方たちはもともとは僧侶や裕福な家の人間で、大金を払って亡くなった際に自ら進んでミイラにしてもらったそうです。
ここで最も有名なミイラが「ロザリアちゃん」です。わずか2歳でこの世を去りミイラにされましたが、100年以上経った現在でもまるで生きているような姿を保っています。
こういった場所には好き嫌いがあると思いますが、“スペシャルな体験”がしたいという方は足を運んでみてください。
筆者はIndipendenza – Palazzo Realeからバスに乗りました。チケットはバス停近くのキヨスクで購入しします。徒歩だと王宮から25分、タクシーでも良いかもしれません。
バッラロ市場(Ballaro Market)
パレルモの観光を大方終えて、ふらっと立ち寄った「バッラロ市場」が意外なほど面白かったのでご紹介します。
旧市街の細い路地で開かれているローカルなマーケットですが、注目すべきはその規模、何と1km以上!端から端まで歩くだけで結構時間がかかります。
魚、肉、野菜、果物、乾物、お菓子、屋台…と、もう無いものは無いといった感じの市場で、活気あふれる地元民の生活の一部を垣間見ることができます。
無造作に山積みにされた野菜や、ちょっと残酷ですが皮を剥がれた動物(多分羊?)が店頭に何匹も吊るされた光景は圧巻です。
お腹がすいたら沢山ある屋台で何か珍しいものを買って、食べながら歩くのも楽しみの一つです。
おわりに
“地中海文明の十字路”と言われるパレルモの1日観光モデルコースを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
参考までに、今回の行程表です。
東洋と西洋の中間地点という立地から、あらゆる民族・文化が交じり合い、独特の発展を遂げたパレルモ。その「ヨーロッパでも、アラブでもない」不思議な“パレルモ風”が、一度見たら忘れられない面白さの理由だと思います。
皆さんも是非このエキゾチックなパレルモを訪れて、その独特な雰囲気を味わってみてください。