イギリス人にとってはもはや生活の一部である 「パブ(PUB)」、ロンドンだけでも約3,500軒もあるそうです。
東京都内にある吉野家の数が195店舗(本文記載時点)だそうで、これと比較するとものすごい数だということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
「行きたいけれど多すぎて、どこに行ったら良いのかわからない。」
そんなあなたに向けて、パブ好きな筆者が実際に行った体験をもとに選りすぐった個性的なパブをご紹介する第2弾です。
前回はロンドン西側エリアを中心にご紹介しましたが、今回はどちらかと言えばシティ寄り、ロンドン東側エリアのおすすめパブを紹介していきます。
ブラックフライアー(The Blackfriar)
テムズ川のすぐそばの、線路脇に建つ不思議な形をした建物の1階部分に入っているのが、超ユニークな内装のパブ「ブラックフライアー(The Blackfriar)」です。
1875年にドミニカの修道院の敷地内に建てられたというこの建物、2人の有名建築家によって設計されたそうです。
店内はそこまで広くはありませんが、まるで修道院のように緩やかにカーブした天井は黄金のモザイクが施され、壁には見事な彫刻が至る所に彫られています。
座席数に限りがありますので、予約していったほうが良いかもしれません。
オールド バンク オブ イングランド(The Old Bank of England)
その名の通り、銀行だった建物を改装したパブです。
吹き抜けになった内装とバーカウンターが見事なことで有名で、ロンドンの美しいパブランキングでも常に上位の人気パブです。
なお、本文記載時点では改修工事のため休業中であり、ホームページにもオープン予定は明記されていませんので、訪問される前にチェックされることをお勧めします。
ハング ドローン アンド クォータード(The Hung, Drawn, and Quartered)
直訳すると「首をくくられ、はらわた取られて、四つ裂きにされる」というなんとも物騒な名前のパブです。
投獄・拷問・処刑といった血なまぐさい歴史で有名なロンドン塔のすぐそばという立地ゆえのネーミングだと思いますが、内部はとっても素敵です。
店の至る所に面白い展示がありますので、時間があったらじっくり読んでみてください。
カウンティング ハウス(The Counting House)
こちらも、もともとは銀行として使用されていた建物を改装したパブです。
建物自体は1893年に建設されましたが、基礎部分は2000年前のローマ時代までさかのぼるという歴史的にも重要な物件だそうです。
内部は広々していて落ち着いた雰囲気。
バーカウンター部分の天井がガラスドームになっていて、より一層店内を広く見せています。
パブの上階はホテルになっているため、宿泊することもできます。
イ・オールド・マイトレ(Ye Olde Mitre)
1546年に建てられたという、ロンドンで最も古いパブの1つです。
道路に面しておらず、見落としてしまいそうな入口から細い通路を抜けた先の、中庭ほどのスペースでひっそりと営業しています。
そのユニークさゆえに、ロンドン・パブ・オブ・ザ・イヤーを始めいくつもの賞を受賞しており、ガイドブックにも掲載されているため、お客が途切れることはありません。
ご覧の通りキッチンも狭いため、基本暖かい料理は提供しておらず、食べ物に関してはパイ、ソーセージロール、スコッチエッグなどの軽いおつまみだけです。
ですので、このパブは「飲むため」の場所と考えていただいた方が良いかと思います。
シティ オブ ヨーク(Cittie of Yorke)
可愛らしい時計が特徴的な正面入り口はあまり大きくありませんが、細い通路を入っていくとそこには驚くようなスペースが広がっています。
倉庫のように高い天井と白と黒を基調としたチューダー朝の壁が美しい内部は、他のパブでは見ることができない個性であふれています。
カウンターの背後には第2次世界大戦中実際に使用されていた、スピリッツや高アルコールワインを保存するための巨大な樽がディスプレイされています。
天井が高いので開放感がある一方、4人がけの半個室のようなテーブル席もあり、家族で食事をしたり、友人と飲みに行ったりと色々なシーンで使えるパブです。
プリンセス ルイーズ(Princess Louise)
ヴィクトリア調の豪華な内装で有名なのがこちらの「プリンセス ルイーズ(Princess Louise)」です。
奥へ入る通路からして明らかに他のパブと様子が違います。
通路右側に見えるパーテーションはマホガニーで、これは昔のパブのスタイルをあえて残しているそうです。
入口も2ヶ所あり、本来1つは中流階級以上もう1つは労働者階級向けに造られたもの。ビクトリアン・パブなどと呼ばれる形式の古いパブではこういった区切りがいまだに見られます。
現在はこういった意味はほとんどありませんが、階級社会イギリスならではの歴史の名残ですね。
人気はサミュエル・スミス、苦みとコクがあります。ほかにもオーガニックのフルーツビールやエールが置いてあります。
おわりに
「イギリスから日本に1つ持ち帰るとしたら何?」と聞かれたら「パブ!」と答えるほどパブ好きな筆者が、2回にわたりロンドンの個性的なパブを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
パブの何がそんなに良いのかと言ったら、その「行きやすさ」です。
フラっと行って、カウンターで飲み物かご飯を頼んだら空いている適当な席に座る、過剰なサービスもないし、いつまでいても誰も気にしません。
一人でビールをちびちびやっているおじいさんもいれば、スポーツ番組を見てエキサイトしているお兄さんもいます。ワインやシャンパンを飲みながらおしゃべりに夢中になっている若い女性のグループもいれば、別のテーブルでは家族でサンデーローストを楽しんでいます。
各々勝手に楽しんで、誰もそれを気にしない。この雰囲気・考え方はまさにイギリス人の性格そのまんまです。
観光地を巡ったり、アクティビティーに参加するのも楽しいですが、より「イギリスらしいもの」を体験したければ、是非パブに行ってみてください。
こんなに「お手軽で、安くて、楽しいアクティビティー」は他にありませんから。