IELTSを受験する理由は人それぞれですが、やはり受験者は「海外」に目線が向いている方が多いのではないでしょうか。
確かに、IELTSは英語圏での留学・就労・研修など人生の大きな目標に向かうために必要なステップの一つですが、ときに少々厄介な障害にもなりかねません。
なぜなら、スコアが最高でも9までしかないので、0.5上げるだけでも相応の努力が必要だからです。
しかも、どれか1技能でも足を引っ張るとBand Scoreに響くので、4技能を均等に鍛えて向上させなければいけません。

- どうやって4技能を一度に勉強すればいいのか、分からないんだけど。
- 時間は無駄にしたくないから、正しい勉強法を知って効率的に準備したい。
というあなたに向けて、この記事では、TOEIC350点というかなり残念な点数から、2年半でIELTSアカデミックモジュールBand Score7.0を達成した勉強法を紹介します。
勉強を始める前に

採点基準を知る
IELTSのリーディングとリスニングの採点基準はTOEICや英検よりはるかに明確です。

正解数によってスコアが決まるので、スペルミスや指示文の読み違えなどのケアレスミスを減らして、正解できるところは確実に取っていく必要があります。
一応、筆者のスコアも掲載しておきます。

自分の位置と弱点を知る
英語の試験を受けるときは、自分が現在どの位置・レベルにいるか知ることはとても大切です。
まずは評価基準と自分の現在の実力を知らないことには目標に向かってスタートできません。
留学や海外就労といった目的でIELTSを受ける場合、目標とするスコアがあると思いますので、現在の位置と目標までの距離感をはっきりさせることがまずはスタートラインです。
Free IELTS practice tests は、IELTSの運営機関ブリテッシュ・カウンシルが提供する練習問題です(回答はPDFで各セクションの終わりに掲載されています)。
1度こちらを解いてみて、自分の現在の実力と弱点を知りましょう。また、1回でも4技能を通しでやってみることで、テストのおおまかな内容と流れを理解することができます。
教材
問題集や参考書は多くはありませんが、旺文社出版・ブリティッシュカウンシル公認のこちらの問題集はおすすめです。
過去問は出題の傾向を知る為にも解いておくことをおすすめします。
こちらのイギリスのケンブリッジ大学が出版しているオフィシャル過去問集は、1冊は欲しいところです。こちらの本には過去問4回分と回答が掲載されています。
「15」は2020年6月出版で「14」2019年6月出版です。毎年新しいものが出版されており、収録の問題は異なりますが出題形式は変わりません。より多く過去問にチャレンジしたい方は2冊購入しても良いですし、どちらか片方でも問題ありません。
IELTSに必要な単語数
IELTSにはどれぐらいの単語数が必要なのか気になるところではありますが、残念ながら公式な数字は発表されていません。
そこで、筆者が並行して受けた英検・TOEICとの受験時期を比較して、必要とされる単語数を割り出してみました。

結論は
IELTS アカデミック Band Score 6.0 に必要な単語数は 約8,000~10,000語
IELTS アカデミック Band Score 7.0 に必要な単語数は 約10,000~15,000語
という予測が立てられます。
あくまで、筆者個人の経験と推測に基づいた数字ですが、だいたいこんなものかと思って頭の片隅に入れておいていただければと思います。
IELTSには英検のように純粋に語彙力だけを問う問題は出てきませんので、単語帳のようなものはあまり重視されていないように感じます。それより、多くの文章を読み込んで、その中で出てきた単語を覚えていった方が効率的だと思います。
IELTSのリスニングで知っておくべきこと

IELTSは英語の熟練度を測る試験ですので、最初は簡単な問題から始まって後半になるほど難しくなります。
Section1とSection2は比較的聞きやすいですがSection3から内容が複雑になり、Section4ではかなり専門的な内容の話を聞いて理解しながら回答を書き込むというマルチタスクな能力が要求されます。
気を付けていただきたいのが、マークシート方式ではなく記入方式ですので、スペリングミスも減点対象になるという点です。
解答の際のポイントになるのが、「言い換え」です。
選択肢の中から会話の内容に合致するものを選ぶのですが、話している内容を別の言葉に言い換えてあるので、本当に会話の意味を「理解」していないと選択できないようになっています。
聞く・理解する・問題文を読む・合致させるという作業を同時並行するので一見大変そうに見えますが、問題を何度も解くうちに自然と対応できるようになってきますのでご安心ください。
これらの問題形式は全て「型」があり、内容は違えど出題の形式は毎回同じなので、練習すればするほど問題に慣れて本番でも落ち着いて取り組むことができます。
あと大切なことは、回答に自信のない問題があったとしても、さっさと気持ちを切り替えて次の問題へ進むことです。

リスニングの勉強方法
毎回言いますが「リスニングに近道はありません」。英語のリスニングにどれだけの時間を割いたかがテストの結果に反映されます。
幸い、IELTSのリスニングに関してはYouTube上にマテリアルがあふれていますので、筆者は試験直前の数週間は毎日1回はこちらで練習していました。時々「?」という問題はありますが、無料でできるとても良い練習問題ですので、おすすめします。
また、IELTSはインターナショナルな英語のアクセントを使用して構成されていますので、あらゆるタイプの英語に慣れておくと良いでしょう。
とても良いマテリアルが、BBC Global News Podcastです。アナウンサーはイギリス人ですが、世界各国からのインタビューやレポートを届けていますので、色々なタイプの英語を聞くことができます。
ちなみに筆者が予想外に苦戦したのが「スペルミス」です。“傘(アンブレラ)”、“台所(キッチン)”、“必要な(ネセサリー)”とか、答えは合っているのにスペルミスで点数を落としました。
マークシートに慣れてしまうと、スペルはついおざなりにしてしまいがちですが、しっかりチェックされますのでご注意ください。
IELTSのリーディングで知っておくべきこと
IELTSのリーディングの問題形式はバラエティーに富んでおり、大きく分けて14種類あります。

本番中に真剣にどのタイプの設問か分析する必要はありませんが、形式をなんとなく頭に入れておくとどのように回答するかおおよその見当がつけられるので便利です。
リーディングにおいても大切になってくるのは、「言い換え」部分を見つけることができる力です。設問の中に本文と全く同じ文が出てきたら、むしろ引っかけではないかと思って疑ってください。
読む際のポイントは、知らない単語が出てきても気にせず読み進めることです。いくら考えても知らないものはどうしようもありませんし、出てくるのが普通ぐらいに思っていた方が気が楽です。
運が良ければ前後の文脈から推測できますが、分からないからといってパニックにならないようにしましょう。
あと、問題の指示には必ず従うようにしてください。「1文字で答えなさい」という指示に対して“an apple”と記入したら不正解になります。