ギリシャ旅行を計画する際に、「アテネ以外にもう1ヵ所面白い場所に行きたい!」という方には「メテオラ」をお勧めします。
「メテオラ」とはギリシャ北西部にある奇岩群とその上に建設された修道院共同体のことで、世界遺産にも登録されている非常に面白い観光スポットです。500mを超える切り立った岩山の上に建つ修道院では、俗世との関りを断ったギリシア正教の修道士たちが今なお実際に生活しています。
アテネ中央駅(ラリッサ駅)からメテオラ行きの列車が出ており、所要時間は片道約4時間半と長旅ですが、息を呑むような美しい大自然の中で厳しい戒律に従って生きる修道士・修道女の生活を間近で見ることはきっと価値ある体験になります。
この記事では、アテネから日帰りで、まるで空中に浮かぶように建つ「メテオラ」の修道院を訪れるモデルコースをご紹介します。
①カランバカ駅 → ②ヴァルラーム修道院 → ③メガロ・メテオロン修道院 → ④展望スポット → ⑤アギオス・ステファノス修道院
カランバカ(最寄駅)

アテネからメテオラの最寄り街「カランバカ」までの行き方は鉄道と長距離バスがありますが、筆者は直通の鉄道を利用しました。
列車の内部は非常に快適で景色も良く、4時間半という長旅にも関わらず不快に感じることはありませんでした。
「カランバカ」に到着後メテオラの修道院を巡ることになりますが、その際のオプションは以下の3つです。
- 徒歩で自分で回る
- タクシーをチャーターして回る
- ツアーに参加する(小型のバン)
日帰りで行くのであればテンポ良く観光スポットを回ってくれるガイド付きツアーに参加することをお勧めします。
筆者が予約に利用したのが「ゲット・ユア・ガイド」というオンラインのツアー会社で、申し込んだツアーには往復の鉄道チケットも含まれていました。列車とセットになっているため、万が一列車が遅延してもツアーが先に出発してしまうようなことはありません。


さらに、帰りの列車の出発時刻のことを考えると滞在時間は4~5時間と短いため「効率よく観光すること」がとても重要です。経験豊かなガイドと運転手はそれを考慮に入れて案内してくれますので、安心して修道院巡りを楽しむことができます。
ヴァルラーム修道院

カランバカ駅を出発してまず最初に岩の上に見えてきたのが「ヴァルラーム修道院」です。現在稼働している6つの修道院の中では2番目の規模を誇る施設で、1541年に設立されました。

建物内部は美しいフレスコ画が飾られていますが、基本的に修道院内部は撮影禁止の為写真はありません。
入口から階段を上ったところにある庭園部分は非常に美しく手入れされており、天気の良い日であれば心地よい風を受けながら周囲の景色を堪能することができます。

どこの修道院も観光客に開放されている時間は短く、場所によっては13:00~15:00には閉館になってしまう場所もあるそうです。個人で行かれる際には営業時間を確認の上訪問してください。

展望台から見下ろすメテオラは、はまさに天空から見る景色のようです。


今でこそ修道院と道路をつなぐ橋が整備されていますが、昔の物資の運搬はそれは大変で、コンテナをロープを使って引き上げたり、谷の上にケーブルを渡して物資をやりとりしていたそうです。
現在もその名残が修道院の各所に残っており、当時の修道院たちの生活を垣間見ることができます。
メガロ・メテオロン修道院

次に訪れたのがこちらの「メガロメテオロン修道院」です。
14世紀に修道士によって標高613mの岩山の上に建てられたメテオラ最大の修道院で、ふもとの入口から115段の階段を上り入場します。
写真下部に小さい穴のような入口があるのがお分かりいただけますでしょうか。

「ヴァルラーム修道院」と「メガロ・メテオロン修道院」は非常に近く、徒歩で行き来することができます。
おそらく滞在時間の関係だと思いますが、筆者が参加したツアーにはメガロ・メテオロン修道院の入場は含まれておらず、外観のみの見学でした。
展望スポット

ガイドさんがツアーの途中何回か、景色の良い場所で写真を撮るために車を停めてくれました。
ここは山の上にせり出した岩の上に登ることで、いくつもの修道院を一度に眺めることができる展望スポットです。ただ、手すりも階段も何もないただの岩場なので、足を滑らせると簡単に転落してしまいます。


山の上なので風が強く、岩の上に立つだけでも相当勇気が要りますが、登れば見渡す限りの絶景を目にすることができますので頑張る価値はあります。ですが、くれぐれも足元にはお気をつけください。
アギオス・ステファノス修道院

この美しい建物は尼僧院の「アギオス・ステファノス修道院」です。
他の修道院と違って、駐車場から橋を渡るだけで入場できるので階段を上る必要がありません。


ご覧の通り入場すると美しい建物や手入れの行き届いた庭を眺めながら散策することができ、他の修道院より整備されている印象を受けました。

最高の写真撮影スポットはここのテラスで、このようにカランバカの街を見下ろすことができます。
筆者が参加したツアーはこの「アギオス・ステファノス修道院」が最終目的地でしたので、ここからはまた「カランバカ」の駅に向けて最後のドライブです。
カランバカに到着したら、駅前のお店で夕飯に食べられるようなものを買ってから電車に乗り込みましょう。


ここからまた4時間半かけてアテネに戻ります。
到着は午後10時前後だったと思いますが、アテネの駅には観光客がまだ沢山いましたので特に不安に感じることはありませんでした。
終わりに
アテネから行くメテオラ日帰りツアーをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
メテオラの地名はギリシャ語の「メテオロス」(空中に浮いている)という言葉から来ているという説があります。確かに岩の上に立てば空中に浮いているような感覚を覚えますが、そもそもこの不思議な地形が一体どのように形成されたかについてははっきりしたことは分かっていないようです。
このような外界から隔絶された場所を生活の場と決めて住んでいる修道士たちは、俗世の生活を捨てて祈りと瞑想に生きています。
素晴らしい景色だけでなく、そんな修道士・修道女達の生活の一部を間近で見ることができるのも、このツアーの大きな魅力ではないでしょうか。
アテネから4時間半と長旅ではありますが、面白い体験になることは間違いありませんので、アテネへご旅行の際は是非「世界遺産メテオラ」も旅程の1つに加えてみてはいかがでしょうか。