街を見下ろすように小高い岩山の上にそびえる白い「パルテノン神殿」はまさにアテネのアイコン的存在です。
子供の頃に世界史の教科書で見たこの古代ギリシャの遺跡に行って、自分の目でその偉大な建築物を見上げてみたいと思いませんか?
アテネは3,400年の歴史を誇る世界で最も古い都市の1つで、芸術・学問・哲学の中心地としてヨーロッパの国々に多大な影響を及ぼしてきました。
その昔の栄華を現代に伝える遺跡が至る所に存在するアテネは、まるで街自体が古代遺跡を展示する「博物館」のようです。
今回は、見るべきものがぎっしり詰まったアテネの街を、2日間でしっかり観光できるモデルコースをご紹介します。
1日目
まずはアテネで外すことのできない目玉観光地「アクロポリス」から観光スタートです。
1日目の行程は全て徒歩圏内ですので、電車やバスに乗る必要はありません。
ちなみに、実際の行程をイメージしやすいように、このモデルコースの最後に「行程表」を掲載してあります。
まずは写真と文章でモデルコースのイメージを掴んでから行程表を見ていただくと、実際の観光の流れをかなりクリアにイメージできると思いますので、併せてご参照ください。
アテナイのアクロポリス
「アクロポリス」とは『高い丘の上の都市』という意味で、古代ギリシャの都市国家のシンボルとなった小高い丘のことです。その上には神殿や砦が築かれ、聖域として人々の信仰を集めていました。
そのうち最も有名なものがアテネにある「アテナイのアクロポリス」です。
当然のことながら1番の人気スポットですので大変混みあいます。混雑と暑さを避けるためにも朝一番で訪問することをお勧めします。
アクロポリス遺跡は「パルテノン神殿」以外にも沢山見どころがありますので、いくつか代表的なものをご紹介します。
プロピレア(前門)
「アテナイのアクロポリス」への入り口にあたる部分です。左右にブロックが分かれており、財宝の保管庫として使用されていたとか。
訪問した当時は補修工事中で足場が組まれて板が敷かれていましたが、円柱の太さから当時の巨大な門の全体像が想像できます。
パルテノン神殿
ギリシャの首都アテネと聞いてまず思い浮かべるのは、丘の上に建つこちらの「パルテノン神殿」ではないでしょうか。
古代ギリシャ人が紀元前5世紀に建てたこのアテネのアイコン的存在の建築物は、観光客にとっては最も魅力的なアトラクションで、ハイシーズンの昼前後になると周囲は大変な人だかりになるそうです。
筆者が訪問した時は、大規模な修復工事中でした。修復された箇所とオリジナルの部分の違いをお分かりいただけますでしょうか。
軒下にあたる部分に飾られていた彫刻の殆どは「大英博物館」や「新アクロポリス博物館」に保管されています。
ちなみにこちらがロンドンの「大英博物館」に展示されている「パルテノン神殿」の彫刻の一部です。度々ギリシャから返還の要求を受けているとか。
エレクティオン
6人の少女の像が柱となった「エレクティオン」という特徴的な柱廊を持つこちらの神殿、紀元前407年頃に完成したものだそうで、かつてはアテネの守り神であるアテネの女神像が安置されていました。
展望台
「展望台」からはアテネ市を一望することができます。
中央に見える山は、歩いて登ることができる「リカヴィトスの丘」です。その見晴らしの良さから人気の観光地となっており、このモデルコースでは2日目の行程に含まれています。
ディオニソス劇場
こちらの「ディオニソス劇場」はギリシャ最古の大型野外劇場です。
ワインと豊穣の神「ディオニソス」の聖域に作られた劇場で、建設されたのは紀元前325年、当時は14,000人~17,000人の観客を収容可能だったそうです。
古代アゴラ
「アテナイのアクロポリス」と同じぐらい重要な遺跡が、こちらの「古代アゴラ」です。
「アゴラ」とは政治・宗教・文化的施設が集中していた場所で、男性が買い物をしたり、政治を論じるなど情報交換をする社交場としての役割もありました。
この「古代アゴラ」は紀元前5世紀頃に形成された場所で、ソクラテスもここで度々問答を交わしたとか。
写真右側の小高い丘の上に見えるのが神殿と要塞を兼ねた「アクロポリス」、対して「古代アゴラ」は平地に造られた市民のための交流の場でした。
ギリシャ遺跡の中で唯一完全に復元されたという貴重な建物がこちらの「アッタロス柱廊」です。
長さ115m、奥行き20mの2階建てで、現在は「古代アゴラ博物館」として、このアゴラで発掘されたものの殆どがこちらに展示されています。
風の神の塔(ローマン・アゴラ)
「古代アゴラ」が紀元前5世紀頃形成されたものであるのに対し、こちらの「ローマン・アゴラ」は紀元前1世紀~紀元後2世紀のローマ時代初期のアゴラの跡です。
この遺跡一番の見どころが写真の「風の塔」です。
天文学者によって建てられた高さ約12mの大理石の塔は、日時計・水時計・風見の3つの役割を持っていたとか。軒下に彫られた風の神の彫刻もお見逃しなく。
昼食
「ローマン・アゴラ」から歩いて数分のところにある「モナスティラキ広場」は観光の中心地で、常に多くの人が行き交っています。
勿論飲食店も沢山ありますので、この周辺で昼食をとることをお勧めします。
その際に是非とも食べていただきたいのが「ケバブ」です。上の写真は「O Thanasis」というケバブレストランで食べた一皿、ヨーグルトソースとジューシーなケバブが本当に良く合います。
早い時間でしたので空いていましたが、昼のピークの時間帯や夕食時は非常に混みあう人気店です。店員さんも気さくな感じで入りやすいお店ですので、もしよろしければお試しください。
ハドリアヌスの図書館
ローマ皇帝ハドリアヌスが紀元前2世紀に建てた施設です。
図書館であったことがわかるようなものは残っていませんが、円柱と壁の跡や建物の基礎部分は良く保存されており、それらを間近で見ながら散策できます。
上の写真は夜の「モナスティラキ広場」で、写真左奥の円柱と壁は「ハドリアヌスの図書館」の一部です。このように広場のすぐ脇にあるので、街歩きの際の目印になります。
写真の奥、岩山の上に美しくライトアップされた「アクロポリス」が見えるのが、お分かりいただけますでしょうか。高い場所にあるので、街のどこからでもこの美しい光景を目にすることができます。
ゼウス神殿
ギリシャ神話オリュンポス12神の最高神であるゼウスに捧げられた神殿で、紀元前6世紀に建設が始まり、ローマ皇帝ハドリアヌスの時代である2世紀に完成しました。
ローマ帝国期に建てられた神殿の中では最大で、写真では分かりづらいですが、近付けば近付くほどその大きさには圧倒されます。入場ゲートは15:00には閉まりますので(2020年時点)、できる限り早い時間に訪問することをお勧めします。
ちなみにこちらは、ゼウス神殿のすぐ近くにある「ハドリアヌス門」です。
神殿と同時期の2世紀に建設されたもので、高さ約18m、幅13.5mの堂々とした門です。「ゼウス神殿」を訪問された際はこちらの門のチェックもお忘れなく。
新アクロポリス博物館
「アテナイのアクロポリス」の出土品4,000点近くを展示している大人気の考古博物館です。
2009年6月にオープンしたという比較的新しい施設で、古代の遺跡が点在するアクロポリス周辺ではとても目立つガラス張りの近代的な建物ですので、まず迷うことなくたどり着けるはずです。
アテナ最盛期の展示の中でも目玉はアクロポリスで見た「エレクティオン(少女がモチーフとなった柱)」のオリジナルです。
「エレクティオン」は、渡り廊下の一番目立つ場所に展示してあります。
また、この博物館設立の動機として、かつて大英帝国がパルテノン神殿から削り取って持ち去って大英博物館に展示した「エルギン・マーブル」の返還をギリシャ政府が要求した際に、「返還してもギリシャには保管に適した博物館が無い。」と言われたことが背景にあるそうです。
ちなみにこちらが大英博物館に展示されている「エルギン・マーブル」の一部です。
時間次第ではありますが、博物館内にはレストランがあり比較的お手頃な値段で食事をとることができますので、空腹でしたらここで夕飯を食べても良いかもしれません。
フィロパポスの丘
まだ外が明るくて、体力に余裕がありましたら、アクロポリスのすぐ裏手にあるこちらの「フィロパポスの丘」に登ってみてはいかがでしょうか。
頂上にはローマ時代の執政官の墓碑があり、そこから見下ろすアテナの街は『素晴らしい』の一言です。
上の写真はアクロポリスとは反対側の街並みで、遠くに海が見えているのがお分かりいただけますでしょうか。半島のようになっているところには巨大なクルーズ船が発着する「ピレウス」という港町があります。
ピレウスからアテネまでは電車でわずか20分程度で行くことができますので、滞在日数に余裕がありましたらちょっと足を伸ばしても良いかもしれません。
こちらが「フィロパポスの丘」の頂上から見た「アクロポリス」です。
お疲れ様でした。これで長かった1日目の行程が終了です。続いて2日目の行程を見ていきましょう。