ミラノに行くなら、レオナルド・ダ・ビンチの「最後の晩餐」は是非とも鑑賞しておきたい芸術作品ですが、チケットが入手困難なことで有名です。作品の保存状態を保つために入場制限があり、完全予約制のチケットはすぐに完売してしまいます。しかし、ネット予約ができなかったからといって諦める必要はありません。実は、現地で当日券を入手できる可能性があるんです。
それは、当日チケット売り場に並び、キャンセル分のチケットを購入するというとてもシンプルな方法です。当然、その日にキャンセルチケットが出るという確約はありませんが、この芸術史上最も有名な作品の1つを何としてでも鑑賞したいという方は、諦めずにこの方法を試してみてください。
キャンセルチケットの販売は先着順ですので、早めに行って並ぶことが、購入できる可能性を引き上げる唯一の方法です。では、いったい何処で、何時から並べば良いのか、どのような流れでキャンセルチケットを購入するのか。こういった情報を事前に確認しておきたいという方のために、実際に私が早朝からチケットオフィスに並び、キャンセルチケットを購入した時の流れを写真付きでご説明します。
最後の晩餐のチケットはなぜ入手困難なのか

最後の晩餐は、キリストが十二使徒と共に最後の食事をした聖書の一場面を描いたもので、15世紀のイタリアのルネサンス期に活躍した万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれました。芸術史上で最も有名な作品の1つとされており、恐らく誰もがどこかでこの絵を目にしたことがあるはずです。
観賞するためには、公式サイトから直接チケットを購入するか、ガイド付きツアーを予約する必要があるのですが、非常に人気が高く、3ヶ月ごとに公式サイト上で販売されるチケットは数日で完売してしまいます。ハイシーズンは特に入手が困難で、航空券よりも最後の晩餐のチケットを先に予約すべきともいわれています。ガイド付きツアーもありますが、公式サイト上でのチケット料金(15€)と比較すると高価で、こちらも週末を中心にどんどん予約が埋まっていきます。
私はがミラノへ行くことを決めたのは出発日の数週間前、最後の晩餐のチケットは既に完売していました。諦めようかと思ったのですが、ネット上でどうやら当日の朝に並べば入手できるらしいという情報を見つけたため、「早起きすればいいだけだし、ダメ元で並んでみるか。」と少しだけ早起きして、並んでみることにしました。
チケット売り場の場所と行き方

最後の晩餐はミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の敷地内にある修道院の食堂の壁に描かれており、チケット売り場は教会前の広場の一画にある離れのような小さな建物です。ここでチケットを購入し、時間になったら教会横の入口から係員の指示に従って入場します。
ミラノ市内は地下鉄、バス、トラムといった公共交通機関が充実しており、早朝から動いているので移動は全く問題ありません。ちなみに私は市バスと程歩でチケット売り場まで行きました。宿泊場所にもよりますが、ミラノ駅周辺からであれば地下鉄の3番線と1番線を乗り継ぎ、25分程で行くことが出来ます。
ホテル出発からチケット売り場オープンまでの流れ
混み具合や行列ができる時間帯がわからなかったので、とりあえずちょっと早めの6時30分到着を目標にしました。
6:00 ホテル出発 → 市バス(8駅) → 徒歩7分 → チケット売り場到着

ホテルからチケット売り場まで30分程度で到着。売り場は閉まっており、誰も並んでおらず静かでしたが、広場に面しており見通しも良かったため特に不安は感じませんでした。
7:00 年配の係員の男性が出勤し「Sold Out Tickets(チケット売り切れです)」という看板を設置
「チケット持っているのか?」と聞かれたので「いいえ、持っていません。」と答えたら、「そうしたらここで8:00のオープンまで待って、売り場の担当者にそれを言うといいよ。」と教えてくれました。


その後少しずつ人が集まり始めました。
7:01 日本人女性2人
7:15 日本人カップル
7:30 外国人夫婦(この人達は既に予約済のチケットを発行するために来た様子)
その後も列は伸び続け、8:00のオープン前には30~40人程の行列になりました。しかし、この多くは既に予約したチケットを引き換えるために来た人達で、私のように当日キャンセルのチケットを狙って来た人は4~5組程度だったと思います。
キャンセル分のチケット購入方法

8時になり、若い男性職員がゲートを開けて並んでいる人を中に誘導します。その際予約の有無を確認され、予約していないと答えたら「もう全部売り切れているよ。」と言われたのですが、「私はキャンセル分を買うために来た。」と言ったら、中に入れてもらえました。
売り場のカウンターでキャンセル分を購入したいと伝えたところ、先に予約したお客さんにチケットを発行するので脇で待機するように指示され、後ろに並んでいた方たちと一緒に部屋の隅でしばらく待機。その間、私達のようにチケットを持っていない観光客がカウンターに来て、当日分のチケットを購入できるか聞いていましたが、「本日分は全て売り切れです。」と言われ帰っていくのを見ました。
予約者が全てチケット交換し終わったところで窓口の女性に呼ばれて、「11:15で良いか?」と聞かれ、そのキャンセルチケットを15€で購入することができました。
最後の晩餐を鑑賞するときの注意点
最後の晩餐の鑑賞は、作品保護のため時間と人数が厳しく制限されています。また、水分の持込が禁止されているため、もし水の入ったペットボトルを持っていたら、入場前にロッカーに預けるか、全て飲み切るか、捨てる必要があります。


指示された時間に入口でチケットを提示し、入場すると、まずは作品について説明するパネルが展示された小部屋に通されます。以降は同じ時間の枠で予約を取った人達と団体行動となり、ドアで仕切られたいくつかの小部屋に順番で通されるため、個人で勝手に進むことはできません。私はたまたまガイドツアーの一行と一緒に入場したため、ちゃっかりガイドさんの説明を聞きながら進むことができました。

そして一番奥の「最後の晩餐」が描かれたサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂に通されます。ここでの滞在は15分と決められており、時間になると後ろの出口まで誘導され退出しなければいけません。薄暗い体育館のような空間に浮かび上がる壁画は、歴史上最も重要な作品とされているだけあって、実物の前に立つだけで鳥肌が立ちました。間違いなく、ミラノでの一番素晴らしい体験でした。
まとめ
ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂に描かれた「最後の晩餐」を、予約無して鑑賞できる方法を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。100%確実な方法というわけではありませんが、オンライン予約が出来なくても鑑賞できる可能性はある、ということを知っていただけたのであれば幸いです。
チケット売り場のオープンは朝8時ですので、その時間にはキャンセルチケットを取れるかどうかはっきりします。少しだけ早起きをして並ぶだけなので、試してみる価値はあると思いませんか?
世界で最も有名な絵画の1つである「最後の晩餐」の鑑賞は、あなたのイタリア旅行の中で特に素晴らしい体験の1つにになるはずです。「チケットは予約できなかったけど、是非ともこの目で作品を見たい!」という方は、あきらめることなく、是非この方法を試してみてください。